経営力向上計画という制度を知っていますか?
中小企業、個人事業主が、3〜5年間の経営計画書を作成し、日本政府に提出、認定されると、融資の際の金利優遇措置、固定資産税の減免措置、補助金申請時の加点項目になる、など日本政府による中小企業・個人事業主むけの多くの支援策をうけることができるという制度です。
今回は、経済産業省が調査した、小規模事業者の実態・動向についてを参考に、実際に小規模事業者として2009年からウェブ制作・経営コンサルタント業を営む経営者として、また、業務として多くの中小企業・個人事業主であるクライアントさまのお手伝いをしてしてきた立場として、経営計画の作成と業績の関係性についてお話ししたいと思います。
経営計画を作成することで業績がアップするのか、業績がアップしているような事業者だから毎年経営計画を作成する能力があるのか。「鶏が先かたまごが先か」なのですが、みなさんはどう考えますか?
経営計画書を作成してる経営者は何パーセント?
資料:経済産業省平成28年白書より
中小企業庁の調査によると、小規模事業者で、毎年、経営計画書を作成しているのは全体の約半数。
そして個人事業主に関しては、半数以上が経営計画を作成したことがないようです。
私は1988年、25歳の時に個人事業主として飲食店の経営をしていました。その後十数年の会社員生活を経て、2009年に今の会社を設立しました。これまでの間、自身で経営計画の作成については、どのように取り組んで来ていたのか、振り返ってみました。
- 1988年〜 カフェ開業:信用金庫から開業資金を調達するために開業前に事業計画作成。毎年、売上目標と収支計画程度の簡単な経営計画を作成していた。
- 1990年〜 カフェとは別にショットバーも開店。経営計画作成レベルはそれまでと同様に簡易なもの。
- 1995年〜 飲食店を廃業。インターネットサービスプロバイダに就職。当時の社長が作成した経営計画に沿って走り回る。
- 1997年〜 名古屋市内の電鉄系広告代理店・インターネット事業部に転職。現場ディレクター職のため、経営計画よりも降ってくる仕事を捌くだけの毎日。
- 2006年〜 大手商社系ITベンチャーに転職。新規事業部マネージャーとして年間売り上げ目標1億円の事業計画を半年ごとにアップデート。
- 2009年〜 ウェブ制作業務と海外進出支援業務を中心にした、現在の会社を起業。国民生活金融公庫から開業資金を調達するために開業前に事業計画作成。以降も簡易な経営計画を作成。
- 2018年〜 経営コンサルタント業への転換を機に、経営力向上計画、経営革新計画を作成。以降毎年更新。
これまでの私の実感としては、経営コンサルタントとしてクライアントさまの業務をサポートするようになるまでは、金融機関に言われてなんとなく作成した、親会社や上司の命令でなんとなく作成してきた、というマインドでした。皆さんはいかがですか?
経済産業省の調査によると、経営計画を作成した背景・動機についての回答には「補助金申請で必要となったから」と「業績を向上させたいから」が、それぞれ約6割です。
「業績を向上させたいから」や「経営状態を正しく知りたかったから」、「自社の強みや弱みを知りたいから」という自発的な回答も多く見られるのですが、やはり補助金申請や融資申込をきっかけとして経営計画を作成する小規模事業者も多いようです。
さらに、経営計画の作成に当たって、活用したり相談したりした機関や人については、「商工会・商工会議所の経営指導員」が最も多く、次いで「税理士や中小企業診断士、経営コンサルタントなど」、「金融機関の担当者」、「ほかの経営者や経営者仲間」が上位となっています。(第1-2-37図)。
その一方、特定の機関や人に頼らず「自らの情報収集と独学」で経営計画を作成したひとも24.7%と、一定数いるようです。
経営計画を作成すると、業績がアップする!?
それでは次に、経営計画を作成した効果についてみていきましょう。
これを見ると、「経営方針と目標が明確になった」「自社の強み・弱みを認識できた」との回答がそれぞれ約70%となっています。さらに、「販路開拓のきっかけとなった」が約40%、「資金繰りの状況が把握できた」が約30%となっています。
続いて、経営計画の作成の有無と売上高との関係についての回答結果をご覧ください。
この回答結果によると、経営計画を「作成したことがある」経営者の方が「作成したことがない」経営者に比べて売上高がアップしていることがわかります。
経営力向上計画を作ってみよう!
冒頭にお伝えした通り、この経営力向上計画という制度、融資の際の金利優遇措置、固定資産税の減免措置、補助金の審査の際の加点項目になる、というものです。
経営計画を作成することで業績アップを目指す、さらにその結果、金利や税金が安くなり、補助金までもらえるのであれば、この制度を利用しない手はありませんね。あなたの会社、あなたのお店の経営計画、さっそく作ってみませんか?
経営力向上計画作成にあたって必要な項目は以下の通りです。
- 自社の事業概要
- 自社のサービスの対象となる顧客や市場の動向・競合の動向
- 自社の経営状況
- 自社の経営資源・他社の経営資源を活用した取組、計画を作成(設備・資金について)
普段から経営者としてビジネスに取り組んでいれば、すぐに作成できそうな気がしませんか?
中小企業庁の調査によれば、2/3の事業者が経営計画を作成したいと考えています。是非とも積極的なマインドセットで取り組んでいただき、業績アップを実現して頂きたいですね。でも、自社のメンバーだけでは作成に自信がないという場合には、専門家からのアドバイスを受けて経営計画を作成できる支援策もありますので、是非活用してみてはいかがでしょうか。
日本政府が認定している経営コンサルタント「認定支援機関」であれば、経営力向上計画をはじめとする経営計画の作成支援を依頼することができます。
(認定支援機関についての記事はこちらから https://blog.access-innovation.jp/shienkikan/ )
認定経営革新等支援機関検索システム
まとめ
経営計画を作成すると業績がアップする、なんて迷信みたいなことだと思っていませんでしたか?
私も以前は「南無阿弥陀仏と唱えると天国へ行ける」みたいな感じで経営計画と業績アップの関連性を空想のことのように捉えていました。でも、自分の会社の経営力向上計画を作成した後から、我が社の業務のほとんどが、私の作成した経営力向上計画に記載した内容と寸分違わず実現するような数年間を体験したことが、この認識を大きく変化させたのです。今では、毎日、南無阿弥陀仏とも唱えたいとも思っています!
私自身のマインドセットが金融機関や上司に言われて売上目標と収支計画だけの簡易な経営計画を作っていた頃の姿勢とは異なり、経営力向上計画や経営革新計画を作成する際には、自社の強み・弱み、市場や競合の分析、取り組むべき課題解決のための行動指標、など経営上重要な項目に対して、今まで以上に真剣に向き合うようになったことが大きな理由だと考えます。
まだ経営計画書を作成していない経営者の方、計画は作っているけど金融機関に言われて仕方なく作っている方、是非とも経営力向上計画の作成に取り組んでみませんか?
経営計画書を作成して提出するだけで①融資の際の金利優遇措置、②固定資産税の減免措置、③補助金申請の際の加点項目、などの優遇措置が受けられるのであれば、是非とも取り組みたいですね。
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