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経済産業省の補助金事業と、その年間スケジュールとは?

山口県岩国・錦帯橋

令和3年1月20日、「IT導入補助金オンライン説明会」と銘打ったオンラインセミナーが、ITC(ITコーディネーター)中部主催によりおこなわれました。

対象は、ITベンダー・IT支援事業者・ホームページ制作・システム開発会社、IT導入補助金を活用してIT経営力をアップしたい中小企業の皆様です。

第一部では中部経済産業局の方をお迎えし、各補助金について分かりやすく解説して頂きました。各補助金の予算編成の年間スケジュールについても詳しくお話し頂きましたので、この記事でシェアさせて頂きます。

目次

1.中小企業生産性革命推進事業(ものづくり補助金・持続化補助金・IT導入補助金)の特別枠改変とは?

はじめに、今回中小企業の皆様向けの補助金について、概要をまとめていきます。

令和2年度第3次補正予算案 

IT導入補助金・ものづくり補助金・持続化補助金は「補助金3兄弟」とも呼ばれ、一般枠と特別枠を設けています。

令和2年度は3次補正予算案まで組まれました。「補正予算」とは、災害や今般のコロナ禍等が起こった際に追加的に必要になり組まれるもので、今回は2,300億円もの予算が組まれています。

令和2年12月8日に閣議決定された「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策に基づく令和2年度第3次補正予算」と、「令和3年度当初予算」が一体で編成され、経済産業政策を強力に推進していきます。「ウィズコロナ/ポストコロナ時代に求められる構造転換に向けて、長期的視点に立った日本企業の変革」を後押しするのですが、具体的には、ポストコロナに対応したビジネスモデルへの変換や生産性向上等の支援を目的とします。2300億円の予算に、補助金3兄弟が組み込まれています。

「低感染リスク型ビジネス枠」とは?

特別枠は昨年も組まれましたが、今回は「低感染リスク型ビジネス枠」という全く新しい特別枠が組まれました。下表は、各補助金の通常枠と低感染リスク型ビジネス枠の対比についてまとめたものです。

補助上限・補助率通常枠低感染リスク型ビジネス枠
ものづくり補助金
(設備導入、システム構築)
1,000万円・
1/2(小規模2/3)
1,000万円・2/3
持続化補助金
(販路開拓等)
50万円・2/3100万円・3/4
IT導入補助金
(IT導入)
450万・1/2450万・2/3(調整中)

各補助金において、それぞれ以下のように拡充されています。

【ものづくり補助金】
低感染リスク型ビジネス枠では、広告宣伝費と販売促進費が補助対象になるのが特徴です。補助対象費の内容などは、補正予算成立後に発表されます。

【小規模持続化補助金】
低感染リスク型ビジネス枠では、感染防止対策費も、一部対象になります。

【IT導入補助金】
低感染リスク型ビジネス枠には、2つの類型が設けられました。
➀特別枠の「通常枠」型
➁テレワーク対応類型

特筆すべきは、今回のIT導入補助金に関する拡充内容に「複数の業務工程を広範囲に非対面化する業務形態の転換が可能なITツールの導入を支援」と明記してある点です。この「複数の」という箇所から、ITツールの要件が厳しくなる可能性が読み取れます。

また新制度になるため、ツール登録とベンダー登録も、新たに必要になるかもしれません。おそらく4月頃になると想定されますが、未だ制度設計中であるため、正式発表を待ちましょう。

緊急事態宣言 中小企業に対する支援(一時金)

中小企業に対する支援(一時金)については、1月15日付けで中小企業庁ホームページにアップされました。こちらも制度設計中ではありますが、法人には40万円以内、個人事業主等には20万円以内の額を支給する支援策もとりまとめ中です。

【要件】
➀緊急事態宣言発令地域等の飲食店と直接・間接の取引があること。
➁緊急事態宣言発令地域等における不要不急の外出・移動の自粛による直接的な影響を受けたことによって、本年1月または2月の売上高が前年度比の50%以上減少していること。

これ以外の詳細はまだ決まっていません。というのは、前回の緊急事態宣言発令時に支給の迅速化を急いだ結果、サギ申請による違法な受給が相次ぎました。今回はこれを阻止すべく、証拠書類の選定方法などについて深く議論しているものと思われます。

中小事業者に対する支援

日本政策金融公庫等による実質無利子・無担保融資の運用の柔軟化も考えられています。

令和2年度第3次補正予算において、追加で総額29兆円規模の「資金繰り支援」が講じられます(予算額3兆2,049億円)。詳細はこれからの発表ですが、以下のような様々な条件の緩和や省力化が施されます。
➀ 「直近2週間以上」での比較における売上減少も可とする。
➁ 融資の申請時に、試算表を省略化に。
③ 融資の申請時に、押印を不要に。

2.中小企業等事業再構築促進事業とは?

令和2年度第3次補正予算案では、先述の補助金3兄弟の2,300億円とは別に、「中小企業等事業再構築促進事業」が組まれました。予算は何と、1兆1,485億円です。

予算案は国会審議中で制度設計ができあがっていません。4つのレベルがありますが、中小企業の皆様にとって汎用性が高いのは最上段の「通常枠」になるでしょう。この補助金は新事業分野展開、業態転換に挑戦する、事業再構築に意欲がある中小企業を応援するのが狙いです。

対象となるのは、例えば小売業者が実店舗を縮小し、ネット販売に注力する転換する企業。また、今後の需要拡大が見込まれるEVや、蓄電池製造などの設備を導入する企業等です。企業規模的には中小企業と中堅企業が対象です。中堅企業の定義については未だ決定しておりませんが、本補助金は大企業は対象外です(みなし大企業も対象外となる見込み)。

上図で各補助金の上限を比べてみると、中小企業等事業再構築促進事業の方が額面が著しく大きいのが一目瞭然です。

中小企業等事業再構築促進事業の補助対象要件は、以下の2つを両方満たすことです。
➀ 申請前の直近6カ月間のうち、売上高が低い3カ月の合計売上高が、コロナ以前の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等。
➁ 自社の強みや経営資源(ヒト/モノ等)を活かしつつ、経産省が示す「事業再構築指針」に沿った事業計画を認定支援機関等と策定した中小企業等。

要件で注視すべきは、「経産省が示す『事業再構築指針』に沿った事業計画」を「認定支援機関等と策定」という箇所です。本来事業計画とは、補助金申請のためだけに場渡り的に作るものではありません。事前に、しっかりとした事業計画を準備しておく必要があるのです。
更なる詳細情報は、補正予算成立後に明らかになってくると思われます。

3.年間スケジュールについて

繰り返しますが、令和2年度は第3次まで補正予算案が組まれました。「補正予算」は、災害や今般のコロナ禍等が起こった際に追加的に必要になり、組まれます。

令和2年12月8日の閣議決定に基づき「令和2年度第3次補正予算」が組まれ、「令和3年度当初予算」と一体で編成されました。「令和2年度第3次補正予算」は1月中の成立を、「令和3年度当初予算」は3月中の成立を目指しています。

ここでは、予算編成のプロセスについて説明しましょう。

令和2年度第3次補正予算

6~7月、各省庁が概算要求(各省庁が予算を立てて財務省に提出すること)に向けた準備を始め、8月下旬に提出します。
9~12月、各省庁と財務省で調整作業をおこないます。
12月下旬、最終調整の後、財務大臣が閣議に提出し閣議決定されます。
1~3月、予算案を国会で審議。衆参両院で可決すれば、予算が成立します。

下表には、それぞれのプロセスを、分かりやすく赤字で表示しました。

令和3年度当初予算

6~7月、各省庁が概算要求(各省庁が予算を立てて財務省に提出すること)に向けた準備を始めます。7月21日には概算要求の具体的な方針が提出されました。

9~12月、各省庁と財務省で調整作業をおこないます。
12月下旬、最終調整の後、財務大臣が閣議に提出します。政府案が閣議決定されたのは12月21日でした。
1月18日、予算案が国会に提出され、1~3月に国会で審議されます。衆参両院で可決すれば、予算が成立します。

予算が成立するまでは、補助金申請の事前準備をしっかりとおこないましょう。

まとめ

令和2年度第3次補正予算案では、補助金3兄弟に全く新しい特別枠「低感染リスク型ビジネス枠」が設けられました。また、それとは別に大型補助金「中小企業等事業再構築促進事業」が組まれました。

中小企業等事業再構築促進事業の申請で注意すべきは、補助対象要件です。経産省が示す「事業再構築指針」に沿った事業計画を認定支援機関等と策定する必要がありますので、これについては早めに準備しましょう。

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この記事を書いた人

こんにちは。中小企業・個人事業主のIT経営力アップのサポート隊長、カトウイチロウです。

1998年からウェブ制作業務をはじめ、業務システムの導入支援、ウェブマーケティング戦略策定サポートなど、中小企業経営者・個人事業主を中心としたクライアントさまのために、売上アップ、業務効率アップのお手伝いをして来ました。

ここ数年は、経済産業省や中小企業庁、商工会議所、自治体、金融機関が推進する、中小企業・個人事業主向けの専門家派遣制度の専門相談員として、地域の経営者と一緒に経営を考える仕事をしています。

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